でこぼこポン!発明品展!特別座談会!2/3
アートディレクションを進める中で、宮澤さん、福田さん、岩田さんの間ではどのような意見交換や会話があったのでしょうか?
岩田 いろいろな人が楽しめるような配慮はお願いしました。例えば、視聴者の中には特定の色の区別が苦手な方もいるので、それに関する注意ですとか。また、集中力がある子だけが見る番組ではないので、文字をたくさん配置するのも控えるようにお願いしました。文字があるとそこに目が行ってしまいがちだと思うので。そういう理由で、番組セット内のVHSビデオの側面に入っていた「キャットフード」の文字はなくなったんですよね。
福田 岩田さんは良い番組にするために、番組のコンセプトや構成に立ち向かってる。鳥居さんも良い番組にするために、演者としてカメラの前に立って演技してる。俺たちも同じで、全て良い番組にしたいから始まる。俺が宮澤くんを誘ったのも、俺がやりたいことを実現させるためじゃなくて、宮澤くんを呼んだ方がこの番組が良くなると思ったから。だから、自分たちが実現したいビジュアルのためよりも、この番組が伝えようとしてることがより伝わりやすくなるためのアートディレクションを実現するための話し合いをたくさんしましたね。
鳥居 番組のセットの色は誰が決めたんですか? なんでオレンジがメインカラーなの? 清水エスパルスが好きなんですか?
福田 (笑)
岩田 オレンジがメインカラーで、グリーンがサブカラーで、グレーはサブのサブカラーですよね。
宮澤 赤、黄色、青の三原色を使うとはっきりとした見栄えになるんですけど、岩田さんが話してくださったように、刺激が強い色が苦手な子もいるので、珍しい組み合わせかつキャッチーで、押し付けがましくない色合いに振ってみました。
鳥居 確かに押し付けがましくないけど明るさがありますよね。
宮澤 テレビ番組を観てると、画面の後ろ側に色んな小物がごちゃごちゃと置いてある気がして、僕自身それが苦手だったりします。
岩田 そうなんですか? 『でこぼこポン!』のセットって、子ども番組の中だったら賑やかな方だなと思っていたんですけど。
福田 トーンは整頓されてるじゃないですか。宮澤くんが言いたかったのって、世界観が整頓されてない違和感のことだと思います。
岩田 ああ、なるほど!
福田 番組のセットの話で思い出したのは、セットを上から見た時に壁がW字になるようなギザギザした作りになってるんですよね。
鳥居 カシオペア座みたい。かっこいい。
福田 照明さんたちはよくセットの一番後ろの方に光を当てるんですけど、それだと正面からセットを見たときにフラットに見えちゃう。影がないと立体感って出ないんですよ。多くの番組のそういう暗さみたいなものを悪として捉えてる印象があって、そこに対しては戦わなきゃいけないなって思ってます。でも、『でこぼこポン!』はそういう部分にもすごい気を遣ってくれてますよね。
岩田 照明って難しいですよね。なかなか思い通りにいかない。
鳥居 そうだ、だって影が出ちゃって眼鏡掛けられなかったもんね私。
岩田 ちなみに、宮澤さんはどうしてこの仕事を引き受けてくださったんですか?
宮澤 素直に、面白そうだったからですね。普段はmagmaっていうアーティスト・ユニットで、二人で製作してるんですけど、一人でセットをデザインするのはこれが初めてだったので。
福田 え、初めてだったの!?
宮澤 はい、だからテツマルくんに誘って貰えたのも嬉しかったですね。セットを作って終わりじゃなくて、毎回発明品があるっていう継続性にもワクワクさせられています。いろんなセットを見れるのも楽しいですね。NHKのスタジオの中に入ると、大河ドラマの武士の格好してる人たちが廊下を歩いていたり、こうやって鳥居さんが隣に座っていることも本当に光栄です。あと、すごい個人的な話なんですけど、中学校の時の友人のお姉ちゃんのお子さんがでこぼこがある方で、その友人がこの番組を見たとき、最後のスタッフロールで自分の名前を見てすぐLINEをくれて嬉しかったですね。
岩田 ははは。いやでも結構細かいオーダーを出す時もあるじゃないですか。正直、えって思うこととかないですか?
宮澤 ないですね。むしろそれがあるから作れています。
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開催情報
でこぼこポン!発明品展!
会期:2024年9月28日(土) - 10月14日(月・祝)
※9/30(月)、10/7(月)はお休み。
営業時間:10:00 - 19:00
入場料:500円(3歳未満無料)